オーラルセッション
番号 題    目 著者名(所属) 要    旨
A01 高周波対応低誘電正接実装材料 天羽悟、山田真治、石川敬郎(日立製作所 日立研究所)  従来,高周波機器の実装材料には誘電損失の低減を目的として,主に誘電正接の低いPTFE,セラミック材料が持ちラれてきた。これに対して加工性の優れた有機系の低誘電正接実装材料(シアネートエステル、熱硬化性PPE、BT,BCB等)の開発が盛んである。本報告では極性其の除去により低誘電正接化を成した樹脂系について紹介する。
A02 スクアリリウムLB膜の光学的特性 渡辺慶太(茨城工業高等専門学校)、齊藤和裕(産業技術総合研究所)、若松孝(茨城工業高等専門学校)  分子レベルで配列・配向の制御に優れているLB(Langumuir- Blodett)法によって、厚さ約50nmの銀薄膜上に光電変換材料であるスクアリリウム分子の有機超薄膜を10層(厚さ約10nm)作製し、可視光全反射減衰(ATR)法によって、作製LB膜の光学特性を評価した。ATR測定には、測定波長457.9nmから632.8nmまでの7色のレーザー波長を用いた。ATRデータの理論フィッテングより、スクアリリウムLB膜の複素屈折率と厚さを、高感度かつ高精度に求められた波長543.5nmにおけるLB膜の複素屈折率の実部が1.21まで低下する、異常分散がみられた。
A03 ゾル・ゲル合成法による強磁性酸化鉄系薄膜の作製 丹理恵、山本奈央、山口一弘(茨城工業高等専門学校)、井上光輝(豊橋技術科学大学)、藤井壽崇(愛知工科大学)  ゾル・ゲル合成法で強磁性酸化鉄薄膜を作製し二段階熱処理を施したところ、熱処理前と比べて磁気特性が改善された。昨年度はこの二段階熱処理前に行われる前熱処理の重要性を報告した。本報告では、二段階熱処理の中で特に大気中再酸化処理を中心にして、膜構造及び磁気特性についてについて報告する。また、ナトリウムを添加した酸化鉄系薄膜についても報告する予定である。
A04 硫黄加硫EPゴム材料の浸水課電劣化現象 千綿直文、杣謙一郎(日立電線 総合技術研究所)  EPゴムは電力製品にも用いられる優れた絶縁材料であるが、硫黄加硫方式をした場合、長期冠水下での使用により電気特性が低下したとの報告がある。今回、硫黄加硫ゴム材料の浸水課電劣化を引き起こす要因の把握を目的として、一般的な加硫促進剤、充填剤に対し、種々の組合せで硫黄加硫EPゴム試料を作製して長期浸水課電試験を行った。その結果、組合せによっては短期間で特徴的な電気性能劣化現象が現れたので報告する。
A05 超臨界アルコールによるシラン架橋ポリエチレンのリサイクル 後藤敏晴、山崎孝則(日立電線 総合技術研究所)、高橋宏和、宮本知彦(日立製作所 電力・電機開発研究所)、菅田孟(産業総合技術研究所)、岡島いずみ、佐古猛(静岡大学)  電力ケーブルの絶縁材料であるシラン架橋ポリエチレンは、加熱しても変形しないためマテリアルリサイクルされていない。これを可能とするためにはシラン架橋ポリエチレンを熱可塑化する必要がある。そこで、我々は超臨界アルコールを用いてシラン架橋ポリエチレンの熱可塑化を試みた。この結果、シラン架橋ポリエチレンの架橋点であるシロキサン結合を選択的に分解し、熱可塑化出きることが解った。この過程における化学反応とシラン架橋ポリエチレンの状態変化の観測結果を報告する。
A06 プラズマ・アシステド・エピタキシー法によるZnO薄膜のヘテロエピタキシャル成長 阿志賀利文,小谷田博章,別府幸治,山内智,針生尚(茨城大学)  酸化亜鉛(ZnO)は、室温で3.3eVと広い直接型禁制帯幅を持つことから青から紫外光領域の発光素子等への応用が期待されている材料である。しかしながら、ZnOは、化学量論的組成からのずれを生じ易く、またサファイア基板等へのヘテロ成長においては2次元成長が難しい等の問題があり、従来の薄膜成長法では十分な結晶性のZnO薄膜は形成できて
いない。そこで本研究では、活性酸素を効率的に供給でき、且つ、低温成長可能なプラズマ・アシステド・エピタキシー法により、良質なZnO薄膜の成長を試みたので報告する。"
A07 化学気相成長法による 薄膜の成長と評価 稲垣健一、山内智、針生尚(茨城大学)  材料は光触媒性や耐食性が非常に優れた半導体材料であることから、湿式太陽電池の半導体電極として現在注目され研究されてきている。しかしながら、 薄膜の形成法はまだ十分に検討されておらず、その結晶性が十分でないことや表面物性がまだ十分に解明されていないことから、湿式太陽電池の電極として実用化には至っていない。そこで本研究では、良質な 薄膜を得るため、CVD法により種々の基板上への成長を行い、その結晶性および電気的特性の評価を行ったので報告する。
A08 PAE法によるInSbのヘテロエピタキシャル成長に関する研究 板津禎彦,長谷部徹,山内智,針生尚(茨城大学)  InSbはV―X族化合物半導体の中でも、最小のバンドギャップ、最大の電子移動度を有し、直接遷移型であることから磁電変換デバイスや高速デバイスへの応用が期待されている。しかし様々な問題によって、良質な薄膜を成長するに至っていない。そこで、本研究では問題の解決として、低温でのエピタキシャル成長の可能なPAE法を用い、Sb/In供給比の制御、基板表面の水素プラズマ照射による清浄化処理などを試み、成長膜の改善を行ったので報告する。
A09 トナー粒子の金属基板対する付着力に影響を与える因子 桜井宣文、竹内学(茨城大)  電界法を用いて、トナー粒子の基板に対する付着力を測定した。、そして、付着力に影響を与える因子について検討した。トナー粒子の大きさ、トナー粒子の保存環境、基板表面の状態等を変化させて、トナー粒子の付着力変化を測定した。その結果、、トナー粒子の大きさ、および、基板表面の状態が付着力に影響する因子であることがわかった。一方、トナー粒子の保存環境は付着力明確な影響は与えなかった。
A10 高分子電解質膜(PEM)の含水・膨潤特性 竹内健司、小又基彰、堤泰行(茨城大学工学部)  固体高分子型燃料電池(PEFC)に用いられる高分子電解質膜(PEM)は、水分を吸収することで初めて高いプロトン導電性が得られる。従って、その含水・膨潤特性を明らかにしておくことがPEFCの特性を解析する上での基本となる。ジメチルエーテル(DME)を燃料とする直接型DME燃料電池では、直接型メタノール燃料電池よりも燃料クロスリーク量が大幅に少ないことについては、昨年報告した。この特性は、ジメチルエーテルの水分溶解度がメタノールの水分溶解度に比べ著しく小さいことに起因していることを報告する。
A11 高分子粉体の見掛けの抵抗率に及ぼす充填状態の影響 河合信太朗、崔 光 石、金子冨士男、竹内学(茨城大学)、最上智史(春日電機),舛井正義(茨城大学)  静電気による微細粉体発火による災害が増加している。そのような災害を防止するためには静電気現象を支配する重要な因子である試料粉体の電気抵抗測定をする必要がある。現在、一般的に利用されている測定方法としては圧力を印加して測定する方法(以下プレス法)と、粉体をホッパーに入れてテンピングした後で測定する方法(テンピング法)がある。しかし、それらの測定方法では粉体の充填状態が異なって、粉体の見掛けの抵抗率に大きな影響を与える。したがって、本研究では粉体の見掛けの抵抗率に及ぼす充填状態の影響を調べた結果、プレス法は圧力の増加につれて見掛けの抵抗率は減少した。テンピング法はテンピングの回数に大きく依存し、回数の増加によって見掛けの抵抗率は減少した。また、それらの測定方法の比較を行った。
A12 狭トラックテープストレージのトラックエッジが再生波形に及ぼす影響 小宮俊秀、杉田龍二、村野井徹夫(茨城大学) 情報ストレージの高密度化を実現するためには狭トラック化が必要である。狭トラックになるとトラックエッジの影響が大きくなる。そこで本研究では、記録された信号の磁化パターン及び再生信号波形についてトラックエッジに着目して検討した。記録ヘッドからの記録磁界方向を磁化容易軸方向に対し変化させ、金属塗布型テープに信号を記録した。両方向のなす角が大きくなるにつれて、記録トラックのエッジには、より多くの磁荷が現れた。また、再生波形においても、両トラックエッジ近傍において相違が見られた。
A13 JT-60改修計画の概要 松川誠、逆井章、石田真一、栗田源一、秋野昇、*安藤俊就、新井貴、市毛尚志、神永敦嗣)、加藤崇、木津要、正木圭、三浦友史、三代康彦、森岡篤彦、櫻井真治、笹島唯之、竹治智、玉井広史、土屋勝彦、浦田一宏、柳生純一、飛田健次、竹永秀信、清水勝宏、菊池満(日本原子力研究所 那珂研究所、*日本アドバンストテクノロジー)  JT-60改修計画は、JT-60を完全な超伝導コイル装置に改造し、トカマク型核融合炉の経済性と環境適合性の大幅な改善を目指すものである。すなわち、高性能プラズマの定常運転と、低放射化材料であるフェライト鋼のプラズマ適合性実証を、研究目標としている。装置設計では、超伝導コイルの高電流密度化や、製作の容易な高耐熱機器の開発なども行っているので、これらの進展状況についても報告する。
A14 固体高分子型燃料電池における水分移動現象 上新周作、中田昌好、中野康宏、伊藤俊輔、堤泰行(茨城大学)  固体高分子型燃料電池の性能を安定に維持するには、高分子電解質膜が常に吸水状態でイオン導伝性が高いことが必要であり、水分管理が重要である。固体高分子型燃料電池の起動・停止・負荷変動といった過渡的な変化に対し、必要な水分補給が可能かを調べるには、膜を透過する水分の移動現象を知る必要がある。そこで、アノードガスの湿度を過渡的に変化させた場合のカソードガスの湿度変化を調べる実験を行い、水分の拡散係数を測定した。
A15 ステレオ視を用いた視覚代行型歩行補助システムにおける周囲距離情報の推定 小川大祐、住谷秀保、白石昌武(茨城大)  これまでに本研究室では触覚情報を用いた視覚代行型歩行補助インターフェースを作成してきた。このシステムでは超音波センサにより被験者の周囲状況を測定していたが、大域的な周囲状況と局所的な距離情報の把握には複数の装置を併用することが必要である。この場合超音波の干渉が正確な測定を困難とするので、複数同時周囲状況把握のためステレオ視による距離情報処理システムを作成した。本発表ではこの手法で主に問題とされる冗長度のある2画像からの距離推定精度に対し、多階層型NNを併用した距離推定法を提案する。
A16 複数点刺激型触覚デバイスによる絶対距離感を考慮した歩行補助インターフェース 田代佑一、住谷秀保、白石昌武(茨城大)  本研究で進めてきた視覚障害者用補助歩行システムでは、距離情報の呈示に単点振動数変調刺激型の皮膚刺激装置を使用し、触覚認知基礎特性の測定を行ってきた。この結果、単点刺激を与えた際人間は周波数刺激の絶対認識能力が全般的に低いのに対して相対感度に対して高い認識能力を示すことが観測された。しかし本研究の主旨である障害物回避および事前認識には距離の相対変化認識だけでは不十分で、絶対距離を提示することが重要である。本発表では小型振動モータを用いた複数点刺激型皮膚刺激装置を手背中手指節間接部位近部に取り付けヒューマンインターフェースによる歩行補助性能の向上について述べる。
B01 HM(ハードメトリック)コネクタの伝送特性評価 堀田均(日立電線 総合技術研究所)  HM(ハードメトリック)コネクタはパソコン内のボード配線用コネクタとして用いられているが、現在、コネクタ付ケーブルとしてCPU周辺装置の接続光交換器等へ応用するニーズが増えている。本コネクタ付ケーブルに要求せれている伝送速度は現状数百Mbps程度であるが、今後の高速化の要求に対応するため、本コネクタの限界伝送性能を実測とシミュレーションにより評価した。限界性能はドライバICの影響を除けば約1Gbpsであることを明確にした。
B02 非線形適応等化器の性能比較 小泉 亮 、宮嶋 照行、山中 一雄 (茨城大学)  デジタル通信において、マルチパス通信路を通過した信号は符号間干渉を受ける。符号間干渉は受信信号を劣化させ、復調誤りを引き起こす原因となる。この符号間干渉を抑圧するために等化器が用いられ、適応的に設計される等化器を適応等化器という。 我々は以前、トレーニング信号を用いずに非線形フィルタを調節することができる新しい等化器、非線形ブラインド適応等化器を提案した。 本研究では、計算機シミュレーションにより、提案した非線形ブラインド適応等化器と、従来の非線形等化器の性能を比較する。
B03 電磁型教材「超簡単モータ」 鈴木政善(日立製作所 日立工業専門学院)  目に見えない電気現象を理解しながら、ものづくりの喜びも経験して貰える電磁型教材「超簡単モータ」を提案する。本教材は子供から大人まで誰でも作れ、費用が安価(\300)、製作時間が2時間以内である。「子供理科教室」実施における「超簡単モータ」の、これまでの展開推移、理科教室実施にあたってのノウハウ、留意点に加えて、教材は簡単であるがやり方によっては,ものづくり体験の乏しい小学生にも有用であることを報告する。
B04 3相ステッピングモータの結線方式と運転特性 坂本光隆、戸恒明、竹内亨(茨城大学)、坂本正文(日本サーボ)   永久磁石形の3相ステッピングモータは、コスト・パフォーマンスの面で優れており、最近広く用いられるようになった。3相ステッピングモータは固定子巻線の結線方式により特性が大きく変化することが考えられる。本報告では、Y2相励磁、Y3相励磁、Δ2相励磁、Δ3相励磁、Hブリッジ駆動等の種種の結線方式について、ステップ応答特性、脱出トルク特性、振動特性等を理論的・実験的に検討し、結線方式と特性との関連を明らかにした。
B05 VR型位置検出器の検討 折笠大助、戸恒明、竹内亨(茨城大学)、坂本正文(日本サーボ)  ステッピングモータをブラシレスモータとして用いる場合、位置検出器が必要となるが、PM型ステッピングモータでは極数が多いため、またHB型ではその形状から、通常のホール素子による位置検出は困難である。そこで他の位置検出法が必要となるが、本研究ではロータの位置によりインダクタンスが変化するVR型のセンサを位置検出器として用いることを試み、その実用性について検討した。
B06 高周波を用いた層間絶縁部分放電計測の検討 尾畑功治、福士慶滋(日立製作所 日立研究所)  インバータサージに対するモータ層間絶縁診断技術として、高周波部分放電計測を検討していた。高周波電圧を印加した時のモータ電圧分布を測定し、計算した結果、コイルのインダクタンスと接地、層間絶縁静電容量の共振周波数以上の電圧をモータに印加することにより、インバータサージの電圧分担が大きい口出し層間絶縁に電圧を印加できた。また、実機モータに模擬放電源を接続し部分放電を計測した結果、高周波電圧下で層間絶縁の部分放電を検出できた。
B07 同期モータ駆動電気自動車用位置センサレス制御の開発 澤田建文、吉原重之、本部光幸(日立製作所 自動車機器グループ)、金子悟、正木良三(日立製作所 日立研究所)  電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等に用いられる同期モータの制御において、磁極位置検出のためのセンサを用いない位置センサレス制御の開発を行った。本方式は搬送波に同期して電圧パルスを重畳する事によって生じる、電流変化量を用いて磁極位置を推定する。この方式は適用動作範囲が広く、応答性にも優れており、よりEV等に適した方式であるといえる。
B08 風力発電向永久磁石同期発電機の可変速制御 菅原 直志、 杉浦 康之(日立製作所 電力・電機グループ)  風力発電では、高効率で全閉構造可能のため塩害に強く、多極により増速ギアレスが可能な永久磁石同期発電機(PMSG)が採用されており、このPMSGを電力変換器を用い可変速運転することにより風速に応じた最適電力制御ができる。本研究では、IGBT変換器2つ用い、発電機出力を交流→直流→交流と変換し系統へ出力する装置にて試験を行った。本装置では、風車の発電能力すなわち風速に見合った最適な回転速度指令に従い発電機出力を速度制御、電力制御、電流制御、位相制御することにより有効な電力を発生させ、それを系統側制御器により力率制御を行い系統側へ出力できることを確認した。
B09 金属イオン除去水を利用した洗濯機すすぎ性能の向上 嶋崎典子(日立製作所 電化機器事業部)  近年の家庭洗濯機市場では、洗浄力向上に加え、清潔仕上げ指向が強まっている。弊社では他社に先駆け、嫌なニオイ・ばみ・アトピーの原因と言われる衣類残留洗剤カスを減少させた、高すすぎ性能洗濯機の開発を行った。その結果、衣類への洗剤残留には、硬度成分(金属イオン)から発生する金属石鹸が関与していることを解明し、金属イオン除去水(イオン交換水)をすすぎ工程にも利用して、すすぎ性能を大幅に向上させる効果を達成した。
B10 両面受光形太陽電池のフィールド試験 今津康博、江口吉雄、上下利男、上松強志(日立製作所 電機システム事業部)  従来、太陽電池モジュールは受光面の片側のみ発電するものが一般に使用されてきたが、表面、裏面とも発電に寄与する両面受光形太陽電池が最近開発されている。両面受光形太陽電池は、両面で発電可能であることから、従来の片面受光形太陽電池と異なった出力特性を示す。このため太陽電池の設置方法についても従来と違った形態が考えられる。本講演では、まず、シミュレーションによって、両面受光形太陽電池の発電特性を予測し、従来の片面受光形太陽電池の出力特性と比較を行い両者の出力特性の相違を明らかにする。その上で、両面受光形太陽電池の利用法としてパネル面を地上面に対して垂直に設置する垂直設置方式を提案し、パネル面の設置方向と発電出力特性の関係をシミュレーションによって明らかにする。さらに、試作した両面受光形太陽電池を垂直に設置したモジュールと、片面受光形太陽電池を南面向けて傾斜設置したモジュールの両者について長期にわたって出力特性を測定した結果とその評価についても報告する。
B11 産業用インクジェットプリンタ中型文字機の開発 宮尾明(日立多賀エレクトロニクス)  産業用インクジェットプリンタは、様々な製品の製造ラインにおいて、移動している製品に対して、非接触にて文字を印字する装置であり、例えば飲料缶底面の“賞味期限”印字などに使用されている。近年、HACCP等のトレーサビリティーに対する要求から、製品への印字のみではなく、集合梱包箱である段ボール箱への印字のニーズが高まっている。ダンボール箱の印字は、文字としての認識性を確保するため従来機での印字より大型な文字の印字が必要とされる。そこで、ノズルや偏向系の検討を行い、印字文字の高さ寸法15mmを可能とする中型文字機を開発した。
B12 UHF法GIS部分放電診断の感度特性 加藤 達朗,遠藤 奎将(日立製作所 電力・電機開発研究所)  近年、電力機器の予防保全技術の高度化が要請されており、部分放電の放射するUHF帯域の電磁波を高感度に検出してGIS内部の異常を検出、診断するシステムを開発している。今回はUHF法部分放電計測におけるGIS全体の検出感度、特に欠陥種類が異なる場合の検出感度特性の検討を行った。今回、各種放電源に対して部分放電電荷量(pC)とスペクトルアナライザ出力(dBm)の関係について検討し、pC-dBm特性はほぼ一本のユニバーサルな関係式で表せることを明らかにした。
B13 変圧器の油温上昇時における効果的冷却方法 西野俊光、五月女浩(東京電力 茨城支店)  通常時における変圧器の運転は、定格範囲内が原則であるが、配電用変圧器は負荷の自然増等に対応すべく気温変動、負荷変動等を勘案した範囲内で過負荷運転を行う必要がある。この場合、基本的には変圧器の寿命を犠牲にしないような運転対応を図っている。変圧器の寿命は使用している絶縁物の劣化によって決まり、巻線最高点温度により影響を受け巻線の絶縁紙が劣化し、進行すると絶縁耐力が低下することが知られている。そこで、当社では、巻線と油の温度差を考慮に入れ油温による上限管理を行い、定格以上の過負荷運転時には「油入変圧器過負荷運転指針」等に基づき冷却器への注水を実施し油温の上昇を抑制している。しかし、文献には注水に関する効果的な実施目安が示されていない。そのため、安全サイドで早めの注水を実施してきたが、注水による悪影響もあり、幾つかの懸案を抱えている。
B14 供給信頼度維持を前提とした、RCM手法による電力流通設備保全計画合理化に関する研究 車多宏方、桜井文雄(東京電力 茨城支店)  RCM(Reliability Centered Maintenance、信頼性重視保全)とは、対象の機能、重要度等の体系的な解析に基づいて保守方策を選び出す解析作業である。RCMは1960年代に米国で航空機の保守費用を低減するために考案され、その後1985年にEPRIによって原子力発電設備への適用手法が開発された。日本では1980年代より石油精製プラントや化学プラントで本格的に導入されている。 RCMを電力流通設備に適用しようとした場合、機器の信頼度が非常に高いため、必要な数の故障データを得ることが出来ない。このため供給信頼度を以前の保全方式と同等以上に保とうとると、必然的に主観的な考えが入り込んでしまうこととなる。この研究では、客観的見地から保全方式を決定することが出来るRCM手法について検討した。また、この検討結果によりリスクを踏まえた保全方式の選択が論理的に実施でき、保全方式の整合性や保全コストの低減を図ることが出来るようなった。
B15 4.5kVIGBTを適用した2レベルスナバレスインバータの開発 小西出政臣、岡安剛、久田将一、稲荷田聡(日立製作所 水戸交通システム本部)  直流電圧3kV級のインバータにおいては3.3kVIGBTを用いた3レベルインバータが広く使われている。インバータの部品点数低減,軽量化を狙って,主回路の2レベル化が可能である高耐圧の4.5kVIGBTを適用した。また,主回路のスナバレス化を狙って,直流電圧3kV級に対応した絶縁距離の確保とブスの低インダクタンス化を両立したブス構造を開発した
B16 10MVA級鉄鋼主機用IGBTインバータドライブ装置 永田寛、小林清隆(日立製作所 情報制御システム事業部)、伊君高志(日立製作所 日立研究所)  鉄鋼主機電動機は、設備の老朽化対策などの理由から、直流機から交流機への更新が進められている。そのため、小型で低コストの大容量インバータが求められている。このニーズに応えるため、3.3kV/1.2kA IGBTを用いた、10MVA級鉄鋼主機用IGBTインバータを製品化した。本論文では、製品化の際に適用した、主回路インダクタンス低減技術、電流バランス技術について、実機波形を交えて述べる。
C01 作業可能日検索機能を備えた作業停電調整支援システムの開発 佐々木守,丸山喜広,板谷晴弘,末廣一也(関西電力,二瓶展之(日立製作所 情報制御システム事業部)  作業停電支援システムは、最適な作業計画を提示するために、作業停電調整者を支援するシステムである。この度、機能増強の一つとして、作業可能日検索機能を開発・導入した。本機能は、すでに決定されている設備点検・補修に対して、追加作業が可能である日を検索する機能である。この結果、新たに点検・補修計画が追加される場合、作業申請者が追加作業を実施可能である日で作業申請するようになり、作業停電調整者が再度計画見直しする必要がなくなり、作業量低減を実現した。
C02 等式制約を用いた系統混雑時の自社外電力購入価格の決定に関する基礎検討 奈良宏一、三島裕樹、梅沢武士、原田啓太郎(茨城大学)  電力市場の部分自由化により、自社外電源の系統接続が可能となった。その場合、系統構成や負荷状態に応じて最適な買電価格を母線毎に決定する必要が生じることが予想される。このような背景から、筆者らはこれまでに、系統の混雑を解消するために自社外電源に電力購入価格を変更して出力変更のインセンティブを与える手法について検討してきている。本稿では線路容量の不等式制約を等式制約として、系統混雑時の混雑解消インセンティブ価格を決定できるか検討する。
C03 分散型電源による配電系統の設備削減効果の検討(その2) 奈良宏一、武田宗之、甲斐政輝(茨城大学)  これまで、筆者らは、配電系統に多数の分散型電源を設置された配電系統の設備削減効効果について検討を行ってきており特に、新設変圧器の増設が不要になる場合には、大きな削減効果が得られることが確認できた。本稿では、分散型電源が配電系統に設備された場合の設備削減効果が、その他のどのような要因でおこるかを調査するために、より多くの例題系統を用いて、詳細な検討を行ったので報告する。
C04 エージェントの既知情報を多数にしたPSOの解探索能力向上の検証 奈良宏一、三島裕樹、松浦康孝、赤羽賢一、高村和大(茨城大学)  Particle Swarm Optimization(PSO)は、群れの中の鳥(agents)が、これまでの自己の経験(pbest)と、群れから与えられ情報(gbest)をもとに行動し、餌を探す過程を模擬した最適化手法である。これまでに筆者らは、電力系統の事故時運用最適化問題に対して、PSOの解探索能力の向上を図るため、gbestを複数選択し、これらによって探索方向を決定する手法を提案している。本稿では、gbest及びpbestを複数にした場合に、各agentがどのように振る舞うかを調べ、解探索効力にどのような効果があるかを検証する。
C05 FRIENDSの最適低圧配電系統構成 奈良宏一、赤羽賢一、三島裕樹、高木道洋(茨城大学)  筆者らは、分散型電源が需要地側に多数配置された場合の将来の電力流通システムとして新しい発想の電気エネルギー流通システム(FRIENDS)を提案している。FRIENDSでは、その目的を達成するために、需要側にQCCと呼ばれる設備を配置するが、その最適配置を検討する必要がある。本稿では、低圧配電線コストを最小とするようなQCCの配置を求めるための手段として、QCCと需要家の地理的位置並びに低圧線路敷設位置候補を既知とした場合に、有効勾配法を用いて、最小コストの低圧配電線構成を決定する手法を提案する。
C06 母線分割を考慮した最適ネットワーク構成決定手法の高速化 奈良宏一、三島裕樹、高柳貴成、川井崇史(茨城大学)  筆者らは、これまでに母線分割を考慮した電圧安定性の最も良い送電ネットワーク構成の決定手法を提案している。この手法は、特定の系統運用条件が与えられた場合に、与えられた短絡容量の範囲内で、最小の総需要電圧感度を最大化するような送電ネットワーク構成をタブー探索を用いて決定するものである。しかしながら、この手法は、タブー探索の近傍の定義が悪いため、現実的に無意味な系統構成が数多く生成され、計算に膨大な時間を要していた。本稿では、無意味な解を生成しないように近傍の定義を変更することによって演算を高速化できるように改良した手法を提案する。
C07 入出力分散に関する線形系の有界性 山中一雄(茨城大学)、内田健康(早稲田大学)  ベクトルの値をとる弱定常2次過程が安定な線形系によって別の弱定常2次過程に変換される場合について、単位行列を超えない分散をもつ任意の入力過程に対し出力分散が単位行列を下回るための条件を提示する。入出力の分散の代わりに平均パワーを考えるときに適用するところの、「有界実定理」との関係についても考察する。
C08 蒸気温度・圧力予測制御によるプラント制御性の改善 木村亨、菊池信他、小田木隆一(日立製作所 情報制御システム事業部)、片桐幸徳(日立製作所 電力・電機開発研究所)  電源設備構成、発電単価ミニマム化の背景から、火力発電所は負荷調整設備としての要求が更に強くなってきている。一方、発電機出力変化により蒸気温度・圧力は大きく変動するため、それらをミニマム化とする制御方式も改善が必要となっている。これまで、フィードフォワード制御や蒸気温度予測制御ななどを採用してきたが、今回、従来技術である蒸気温度予測に加え圧力も予測し、給水・燃料指指令を自動で最適調整することで制御性を大幅に改善した。
C09 新型配電系統自動化システムの開発 沼田知仁(日立製作所 情報制御システム事業部)  小規模事業所に分散・配置されていた配電設備の運用を拠点事業所に集中化し、設備の効率的な運用と監視制御が実現できる新型配電系統自動化システムを開発した。広範囲にわたる系統を拠点事業所で一括監視・制御し、また一部の変電所機器を制御することにより、配電系統事故発生時に迅速な復旧が可能となった。またシステムの2重化に伴う待機サーバの活用により、系統シミュレーションを可能とし、日常の操作訓練、系統計画などの業務支援機能を強化した。
C10 受信部、制御部を一体化した自動列車制御装置(統合形ATC車上装置)の開発 辻雅樹,古賀和則,能見誠,中田憲一(日立製作所 水戸交通システム本部)  近年、鉄道車両用電気品の分野であるATC装置等の保安装置は、輸送の安全を確保する基本機能の他に、高速度・高密度運転に対応する機能・性能の向上、および低価格・小型化の要望が高まってきている。これらの要望に応えるべく日立では、多種多様な信号形態や運転取扱いに対応するための信号処理方式を採用したATC受信部の開発、およびそのATC受信部と制御部の機能を一体化して小型化を実現したATC車上装置(統合形ATC車上装置)の開発を行った。本発表では、統合形ATC車上装置の概要と開発の成果を報告する。
C11 プラント監視制御のためのセキュア遠隔操作プロトコル 太田剛人,宮尾健,中野利彦(日立製作所 情報制御システム事業部),加藤博光(日立製作所 システム研究所)"  プラント監視制御システムは、従来閉じた系として設計されていたが、近年のインタネットの発展に伴いオープンな情報系システムと連携することが多くなった。しかしながら、プラント監視制御システムがオープンなシステムと接続されると、悪意を持った第三者の不正操作等セキュリティ上の問題が発生する。そこで、「操作権限」という概念を導入し、複数操作員が遠隔から制御を行う場合にも、一連の操作が重なることなく安全に行えることを特徴としたセキュア遠隔操作プロトコルSTPを、情報処理振興事業協会の委託研究を受けて開発したので報告する。
C12 大規模鉄道電力系統制御システムにおける段階的システム更新について 高橋渉、菊地邦行、大田健二、畑中秀行(日立製作所 情報制御システム事業部)  鞄兼本旅客鉄道殿 東北・上越新幹線の変電所等電力系統の制御・監視には、DECS(新幹線電力系統制御システム)が用いられてきた。DECSの老朽化に伴い、新システム(COSMOS-SCADA)への更新を実施中(H12/12〜H15/03)である。DECSは各支社毎に地区指令を置き、それぞれ区間を分けて監視・制御を行っているが、COSMOS-SCADAは地区指令を廃止し、中央から直接監視・制御を行うことを目的としている。設備更新対象箇所が109箇所にのぼり、システムの一斉更新は難工事であることから、東北・上越新幹線を5工区に分割しての段階的な更新を行うこととした。
C13 改良型沸騰水型原子力発電所用制御棒操作監視システム 石井一彦、清治岳彦(日立製作所 情報制御システム事業部)、柳橋和美(日立エンジニアリング)、小原公平、舛永直(日立製作所 情報制御システム事業部)  近年の改良型沸騰水型原子力発電所(ABWR)では、電力事業環境の厳しさの増す中、製品の信頼性・経済性の向上のみならず、システムの高度化・グローバル化への対応等、ニーズが多様化してきたが、弊社ではこれにこたえるため、技術開発を積極的に推進してきた。原子炉制御棒の操作監視システムに対しては、先行機の徹底分析に基づくシステム構成のスリム化と基幹コンポーネントの小型化により、上記のニーズを満足する新型システムを開発したので報告する。
C14 Linux環境向けクラスタシステム HD-Cluster の開発 大平崇博,遲野井英樹(日立製作所 情報制御システム事業部),武林剛(日立情報制御システム)  弊社の提供する情報制御システムには、高信頼性と長期保守が要求される。このようなシステムに使用する制御サーバ計算機には、安定性と長期保守の観点から、近年は、POSIX互換のOSであるLinuxを適用推進している。さらに、システムとしての高信頼性を確保するために、多重化構成を採用する例が多い。このような多重化構成クラスタを構築するための共通プラットフォームとして、今回HD-Clusterを開発した。
C15 下水道光ファイバーネットワークシステム 渡辺忠雄(日立製作所 情報制御システム事業部)  下水道事業体の各拠点(本庁、管理事務所、処理場、ポンプ所など)を下水道管渠に敷設した光ファイバーケーブルで結ぶことにより、下水道光ファイバーネットワークシステムを構築した技術紹介です。下水道管理の高度化や情報化社会への貢献を目指し、今後の利用価値は幅広く、各自治体において注目されております。光ファイバーケーブルを用いることで、ATM、光IPネットワーク、FDDIなど様々な方式でネットワークを構築できますが、今回、ATM技術を活用したルータネットワーク、動画配信、PBX網をマルチベンダーで構築したシステムについて事例をまじえ紹介します。
C16 自動搬送システムの改良版(CZモデル)における合流制御方式の性能評価 黒崎佳久、関根栄子、浜松芳夫(茨城大学)  本研究では、自動搬送システムの合流部における車両の合流制御方式を検討する。合流点には、優先度に差のある2本の路線から車両が到来する。合流点で車両同士が競合するような場合には、非優先路側の車両のみを待たせる。従来のモデルでは、制限時間を設定しその時間内に合流できなければ迂回させた。今回のモデルは、CZ(Check Zone)を用いて優先路側の到来状況から待ち時間を予測し、あらかじめ設けた制限時間内に合流できない場合には、迂回させる。このような合流制御を行った合流部における車両挙動をマルコフ連鎖の手法を用いてモデル化して解析を行い、従来のモデルとの比較を平均待ち台数や迂回率などを用いて行う。
C17 Analysis of PRT Merging Section with Double Queues Under Waiting Time Restriction Cao Kai 、Eiko Sekine 、Yoshio Hamamatsu (IBARAKI University)  We propose a merging section model for approaching a analysis method of PRT(Personal Rapid Transit) queuing network. In the model, sub-line joins main-line at a merging point, and waiting time restriction to a vehicle is set up on the sub-line in order to smoothing flow of vehicles. Therefore, near merging point (called merging section), queue(s) may form on main-line and sub-line respectively, or both of them. We have applied imbedded Markov chain to develop a stochastic model to analyze the behavior V of vehicle in the merging section, and to evaluate our control strategy. We also simulate the action of vehicles in the merging section to compare with the stochastic model.

ポスタセッション
番号 題    目 著者名(所属) 要    旨
P01 メロシアニン色素LB膜の作製と光学的性質 小田内慎吾、近藤清志、星善人、若松孝(茨城工業高等専門学校)  分子レベルで超薄膜の構造を制御できるラングミュア・ブロジェット(LB)法を用いて、光電変換材料であるメロシアニン(MC)色素分子の有機超薄膜をガラス基板上に1層から9層までの奇数層で作製した。MC薄膜の評価は透過法による光吸収スペクトル測定により行い、波長600nm付近にMC分子のJ会合体による吸収ピークが観測された。MCLB膜試料の熱処理により、この鋭い吸収ピークが消え、J会合体が崩壊することが判った。さらに、反射スペクトル測定から、Jバンド吸収帯付近の波長域で反射率が増加する現象が見られた。これにより、MCLB膜の複素屈折率に異常分散があることを確認した。
P02 ZnO薄膜への水素プラズマ処理の効果 川ア裕且、阿志賀利文、稲垣健一、別府幸治、小谷田博章、福島慎二、山内智、針生尚 (茨城大学)  現在、高効率で長寿命な青色発光ダイオードやレーザーダイオードを作製するための材料として、ZnSeやGaNが注目されているが、更に禁制帯幅の広いものとして、酸化物半導体の酸化亜鉛(ZnO)も検討されはじめてきている。しかし、ZnO薄膜の成長においては様々な問題があるために良質な薄膜の成長は実現されていない。本研究ではプラズマ・アシステド・エピタキシー法(PAE法)により作成したヘテロエピタキシャルZnO薄膜の特性改善として水素プラズマ処理を試みたので報告する。
P03 サファイア基板上へのPAE−ZnO薄膜成長における基板処理の影響 尹 竹、山内智、針生尚(茨城大学)  ZnOは広い禁制帯幅を持つ直接遷移型の化合物半導体材料であることから、発光素子や透明導電膜、表面弾性波素子などへの応用が現在注目され研究されてきている。しかしながら、ZnO薄膜の成長においては様々な問題があるため、良質な薄膜は得られていない。今回は、酸素プラズマを用いてZnO薄膜をエピタキシャル成長させる際、その成長の初期段階での制御が極めて重要であることから、基板表面状態に着目して、表面改質したサファイア基板上へのZnO薄膜の成長を行ったので報告する。
P04 トナーの付着力に及ぼす湿度の影響 蛭田東洋彦、竹内 学(茨城大)   一般に、湿度を高くすると水分がトナーの表面に付着し、トナーの付着力のうち水架橋力が大きくなると考えられる。本研究では、遠心法を用いてトナーの付着力に及ぼす水分の影響を調べた。 実験では、湿度を高くした密閉容器の中に、付着力測定用基板の上にトナーを付着させ、そのふん囲気に所定の時間放置した。その後、トナーの付着した基板を取り出し、遠心法で付着力を測定した。逆に、低湿度のふん囲気に放置したときの付着力も測定した。測定の結果、相対湿度が99%のふん囲気に放置したトナーの付着力は増加し、低湿度のふん囲気に置いたトナーの付着力は若干減少することが確認できた。
P05 IGBTのノイズ特性とシミュレ-ション 飯村武司(日立製作所 計測器グル−プ)、大高康則 (日立製作所 自動車機器グル−プ)、藤井良(日立製作所 関西支社)、蛭田雄彦 (日立製作所 情報制御システム事業部)、島健蔵(日立製作所 日立工業専門学院) "  最近のパワ−デバイスの主流となったIGBTは高速スイッチング特性と低飽和電圧を特徴としているが、高速スイッチング時の電磁ノイズ発生が問題となっている。 この電磁ノイズ発生低減のためにモジュ−ルパッケ−ジの低インピ−ダンス化、 フライホイ−ルダイオ−ドの性能改善等が行われている。今回IGBTモジュ−ル(1200V/100A定格)において、タ−ンオン時の特性及びその時発生する電磁ノイズを測定し、PSpiceを用いて波形解析シミュレ−ションを行った。 その結果、実測とシミュレ−ションのよい一致が得られ、特性の予測が可能となったので報告する。
P06 フレネル型CGH(Computer Generated Hologram)における入射像の位相条件と再生品質 井ノ上渚佐、鳥羽田明広、畠山巖(茨城工業高等専門学校)  コンピュータで作製するホログラムは作製の自由度が大きく、デジタルメモリや画像の暗号化等への応用が検討されている。しかし、実際に作製してみると条件によって種々のノイズがその再生像に乗ってしまうことが多い。その原因としてはコンピュータの計算精度や丸め誤差等もあるが、実際の光学的に作製するホログラムで明らかになっているスペックルノイズの存在も考えられる。ここではこれらの原因を検討するため、強度変調された画像情報に各種の位相変調を加えその影響を調べた。また位相変調を与える位置の効果(強度変調面そのもの、フレネル変換面、フーリエ変換面等)についても検討した。
P07 複合ゲートによるRBC信号処理回路の構成に関する研究 東亮介、塚元康輔 、宮田武雄 (茨城大学)  冗長2進符号(RBC)を用いた演算回路について提案する。RBCは通常の2進数に‐1を加えた3値2進数であり、1つの値を複数のコードで表現できると言う冗長性を持っている。その冗長性を用いることで高速な並列加算が可能となり、桁数の増加に関係なく演算時間は一定で済む。また、桁数の増加に対する使用素子数の増加を一時間数的に増加するにとどめることができる。RBCのCMOS構造による、複合ゲートを用いた桁上げ伝播のないマルチオペランド加算器の提案をする。
P08 高周波四重極リニアックの空胴結合板の最適化を目指した電磁界解析 佐澤 慎吾, 宮本 哲男, 三枝 幹雄(茨城大学), 杉本 昌義(原研東海)  核融合炉材料を開発する際に必要な高速中性子照射試験施設を建設するため、現在、国際エネルギー機関(IEA)のもと、日本、米国、欧州連合およびロシアによって、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の建設計画が検討されている。IFMIFでは最大で250mA,40MeVの重陽子ビームを連続的に液体金属リチウムに衝突させ、重陽子−リチウム(d-Li)ストリッピング反応を利用して中性子を発生させる。このIFMIFで用いられる大電力重陽子ビーム加速器は、イオン源、高周波四重極リニアック(RFQ)、ドリフトチューブリニアック等で構成される。本研究では前段加速に用いられる5MeVの高周波四重極リニアック(RFQ)の空胴共振器および結合板の設計研究を三次元電磁界解析コードMAFIAを用いて行った。"
P09 電子サイクロトロン波帯電流駆動用深溝型偏波器の開発 湯浅 智志、三枝 幹雄(茨城大学)、高橋 幸司、坂本 慶司、今井 剛(原研那珂)  世界中に存在する様々な核融合実験装置の中で、現在、最も核融合炉プラズマに近いパラメータを達成しているのがトカマク型核融合実験装置である。本研究では、トカマク型実験装置の定常運転と高効率エネルギー閉じ込めに必要な170GHz帯の高周波を用いた電子サイクロトロン電流駆動において、ミリ波入射に最適な楕円偏波を生成するため、従来2枚必要であった偏波板を1枚の深溝型偏波板で置き換え可能である事を提案し、実際に偏波器の設計、製作、評価試験を行った。低電力で高周波特性を測定した結果、電磁界解析コードによる計算結果とほぼ一致することが確認された。
P10 非線形現象を表わすMayergoyzモデルの線形補完 四谷栄史、堀井龍夫(茨城大学)  非線形現象をシミュレーション可能なモデルとしてプライザッハモデルあるいはそれを改良したMayergoyzモデルがある。これらのモデルは実測ヒステリシスループのデータから構築することになるが、離散データであるためその出力値は離散値になってしまうという欠点がある。離散値のままでは、繰り返しの計算を行って数値計算を行うことが不可能のため、本研究では飛び飛びの値の間を線形補完する線形補完モデルを検討する。具体的な非線形モデルとしてアルニコ磁性材料の線形補完モデルを、有限要素法に適用して、線形補完モデルの妥当性を検証する。
P11 デジタルホログラフィにおける再生像品質の記録条件依存性 高橋威裕、寺門大輔、畠山巖(茨城工業高等専門学校)  デジタルホログラフィ技術はCCDで記録した干渉パタンからコンピュータにより再生像を得る技術であり、再生のための特別な媒体や光学系を必要とせず自由度が大きい結像技術として期待されている。しかし、現状でのCCDカメラの解像度は十分でないため物体光と参照光の設定角度に制約を生じている。ここでは実際の記録と再生を実験で行い、最適な記録条件を求めると共にその記録条件を定めている要因を考察する
P12 スイッチトカレントを用いた電流モードA/D変換の構成 一川大輔、塚元康輔、宮田武雄(茨城大学)  信号処理回路の入出力インターフェースであるA/D変換回路の低消費電力化方式として、低電源電圧下でも動作可能な電流モード積分形A/D変換の変換アルゴリズムとその回路構成を提案する。高精度な変換が可能であるスイッチトキャパシタ形電荷平衡A/D変換の変換アルゴリズムを変換原理とし、電流モード信号処理のスイッチトカレントに置き換えることで、電流モードのA/D変換器を構成する。
P13 画像処理による炎検出アルゴリズム 島田穣、塚元康輔、宮田武雄(茨城大学)   炎検出には熱感知センサや煙関知センサなどが使われるが、広い空間ではセンサに対象物が到達するまでに時間がかかり検知が遅れるという欠点がある。そのような欠点を補う目的で画像処理により炎の検出を行う。まず、炎の映っていない背景画像と炎の動画像との差分をとることにより、炎部分を抽出した動画像を作成する。次に得られた動画像に対し、輝度値を時系列データとして扱い、フーリエ変換により周波数成分へと展開した。結果、炎と他光源に違いがみられた。
P14 真空小電流高繰り返し放電における軟X線の観測 安孫子博、野瀬大樹、柳平丈志、鶴田浩一(茨城大学)  50μm〜250μmの微小ギャップ長で繰り返し周期約0.5〜4μsである真空小電流高繰り返し放電を行った。その繰り返し放電中に軟X線が発生している。そこで、その軟X線の発生機構を調べるためアーク電圧、アーク電流、コレクタで荷電粒子観測、シンチレーション検出器でX線強度を同時測定した。また、パルスレーザを用い、プラズマの挙動の測定を行なった。
P15 真空アーク金属イオンの価数分布と磁場の影響 阿部泰知、密岡泰文、真部泰幸、鶴田浩一、柳平丈志(茨城大学)  高真空中で円錐状の鉛、銅、銀陰極と平板タングステン陽極を垂直に設置し、インパルス電圧を印加してアーク放電を発生させる。負の方形波で加速する方式TOF法により、金属イオンの価数分布を加速電圧の大きさと加速時間を変えて測定する。また、真空容器の外部にコイルを巻き、加速管に磁場を加えて、磁場が価数分布に及ぼす影響を測定する。
P16 Mayr方程式を用いた真空アークの不安定現象の解析 高野和也、柴田友和、田中徳幸、柳平丈志、鶴田浩一(茨城大学工学部)  真空アークで発生するスパイク電圧などの不安定現象を、アークモデルを用いたシミュレ―ションによって解析する。アークモデルはMayr方程式を基に作成し、銅や亜鉛電極を用いた場合を仮定して定数を決定する。  シミュレーションで得られた波形と、実際の放電回路で得られる電圧、電流波形を比較・検討し、考察する。"
P17 Bi-2212 ROSATwireを用いた冷凍機伝導冷却型超電導ソレノイドマグネットの開発 森田裕、田中和英、岡田道哉(日立製作所 日立研究所)、佐藤淳一(日立電線)、北口仁、熊倉浩明、戸叶一正、木吉司、伊藤喜久夫、和田仁(物質・材料研究機構)  冷凍機伝導冷却型超電導マグネットは冷媒を補充する必要がないことからNMR、MRI等の各種産業用磁場発生装置として注目されている。一方、酸化物超電導コイルは臨界温度が高いことから高安定なマグネットを実現できる。我々が開発を行っている冷凍機伝導冷却型超電導マグネットは超電導線材としてBi-2212 ROSATwireを用いたソレノイドコイルを搭載している。コイルは5層構造で、目標中心磁場は10Tである。これまでのところ、酸化物超電導線材としては世界最長である3500m級のBi-2212 ROSATwireの開発に成功し、それを用いたコイルをいくつか製作している。本報告ではマグネットの開発状況、試験結果等について報告する。
P18 茨城高専における太陽光発電システムの季節的出力特性 根本英幸,飯田貴志,関口直俊(茨城工業高等専門学校)  太陽光発電システムは光起電力効果によって太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換し負荷に適した電力を供給するために構成されたシステムである。本研究では、太陽電池アレイに実際に負荷を接続して季節的な太陽電池アレイの電流電圧カーブを測定し出力に及ぼす影響を評価することを目的としている。今回は、夏と秋のデータについて評価を行った。発電電力はほぼ日射強度に比例し、天候によって時々刻々と変化する。毎週、屋上に設置された太陽電池を用いデータを収集、評価を行っている。
P19 水電解用小規模太陽電池モジュールの電流・電圧特性 飛田郭雅,三浦寛太郎,関口直俊(茨城工業高等専門学校)  燃料電池自動車の研究開発を始め、水素を利用したエネルギーシステムの構築が要請されている。この水素は先ず水電解により製造され、次いで水素吸蔵合金に貯蔵され、更に燃料電池により利用される。本研究では水素製造及び貯蔵の前段階として、太陽電池モジュールの特性を調べるべく負荷として定抵抗を用い、太陽電池のセル数や日射強度による電流・電圧の変化を測定した。
P20 太陽電池アレイの最大出力点の予測とその制御 高島工,田中忠良,作田宏一(産業技術総合研究所)  太陽光発電システムは日射変動や素子の温度変化によって出力が大きく変動する.
P21 直接型メタノール燃料電池の気液燃料供給方式と燃料クロスリークの関係 中田昌好、上新周作、中野康宏、伊藤俊輔、堤 泰行(茨城大学工学部)  本報では,日射強度と素子の温度をもとに最大出力点を予測する手法について,
P22 Linux搭載小型Webサーバの開発 谷津田 勉、村田 幸洋、榊 直浩、村田 一洋、飯島 三朗(日立情報制御システム)  その制御特性を実験的に解析した結果を報告する.
P23 ブラシレス二次励磁誘導発電機システムの実験的研究 横島秀知、加藤真嗣、星伸一、久保田朋次、大口國臣(茨城大学)  可変速二次励磁誘導発電機は、速度制御範囲が狭い場合には電力変換装置容量が小さくて済み、経済的であるので、水力発電用に実用化が進められている。しかし、ブラシとスリップリングが必要なために、多数の発電機を設置する場合には保守の問題が生じる。これに対して、著者らはカスケード接続してブラシレス化した方式を先に提案した。本報告では、カスケード接続による効率や力率特性の変化および特性改善法についての実験的検討結果を述べる。
P24 高調波低減型カスケード誘導発電機の基礎特性 加藤 真嗣 、星伸一、大口國臣 (茨城大学)  現在、日本には水力発電可能な地点が、約2400地点ある。しかし、大部分が小規模であるため、発電単価が高くなり、水力エネルギー利用の障害となっている。そこで、著者らは、先に2台の巻線型誘導機をカスケード接続した低コストな発電システムを提案した。しかし、このシステムでは、高調波が発生し、系統や発電機に悪影響を与える。今回は、このシステムに高調波対策を講じた発電システムを提案し、高調波の低減効果をシミュレーションにより明らかにする。
P25 二種類の埋込磁石形同期発電機の過渡特性 安井輝正、栗原和美、小柴敦誉(茨城大学)  埋込磁石形同期電動機は一般に構造上、堅固で、永久磁石と反作用トルクの有効利用が可能である。また、弱め磁束制御技術により低速から高速に至るまでの広範囲の運転が可能である。このため、電気自動車の駆動機として広く利用されている。本研究では埋込磁石同期電動機として試作したものを、永久磁石同期発電機として用い特に、回転子鉄心がけい素鋼板、塊状純鉄の二種類について、負荷急変時の過渡特性を実測、それらの相違を実験的に明らかにするものである。
P26 制動巻線をもつ永久磁石同期発電機の過渡特性 小柴敦誉、栗原和美、安井輝正(茨城大学)  永久磁石同期発電機は励磁のための損失がないため、本質的に高効率であり、近年の高性能永久磁石の出現により小形化が進展している。しかし、突発短絡時や系統並入時に永久磁石の減磁効果が大きく、永久減磁が起こらないような設計が必要である。ここでは試作の自己始動形同期電動機として設計したものを永久磁石同期発電機として用い、上述の減磁効果が制動巻線により、どのように変化するかを時間刻み有限要素法を用いて解明している。"
P27 低風速(2m/s)起動風力発電機 菅井文彦、谷山周一(日立製作所 電機システム事業部)、山中宏修(日立製作所 ビルシステム)、鈴木政善(日立製作所 日立工業専門学院)  環境問題の観点よりクリーンエネルギへの期待が高まり、風力発電、太陽光発電等が注目されている。今回、当学院で風力発電を実現するべく発電機器の一つである発電機本体の基本仕様を電圧12V、電流1Aとして研究・開発・試作を行なった。低速起動を実現するため、発電機をアクシャルギャップ形構造とし、起電力を高めるためネオジム磁石を三角配置形とした。本発電機は風速2m/sより発電動作が可能であり、日立工専の屋上にて発電し、そのエネルギーを12V自動車用バッテリーへの充電に成功した。
P28 液体抵抗器における銅イオン濃度 飯村吉光、小又基彰、堤泰行(茨城大学工学部)、安田正明、青島優(日立エレクトリックシステムズ)  液体抵抗器は、通電によって電気化学反応が生じ、電極の金属材料が溶出する特性を有する。溶出した金属イオンが溶解度を越えると析出が起るので、析出と溶解度とは密接な関係がある。金属イオンの溶解度に及ぼす温度、PH、錯体を形成する第二金属元素の影響について、実験で調べた結果を報告する。
P29 高機能可搬型部分放電測定器の開発 江島弘高(日立電線 総合技術研究所)  各種高電圧機器の欠陥検出に適用可能な可搬型部分放電測定器を開発した。高電圧ケーブル線路用に開発した高感度部分放電検出技術及び部分放電自動判別技術を利用しており、更に測定器本体の制御、データの記録・表示等は汎用パソコンを、本体部にはマイコンを利用することにより小型軽量化を図り現地測定作業性を向上させた。
P30 6.6kVCVケーブル用高感度活線診断装置の開発 片岡慎(日立電線 総合技術研究所)  6.6kVCVケーブル線路の絶縁劣化状態を活線で診断する手法である直流成分測定法の信頼性の向上検討を行った。現地に布設されたケーブルの直流成分を増幅させ、直流成分を感度良く測定することが出きる新しい6.6kVCVケーブル高感度活線診断手法として、±DCバイアス式活線診断手法を開発した。さらに、これらの劣化診断を自動的に実施することができる可搬型の劣化診断装置を開発し、現地検証試験を実施した。その結果、良好な結果を得た。
P31 三相マトリックスコンバータのスイッチング法 峰尾智昭、星伸一、久保田朋次、大口國臣(茨城大学)  現在、交流−交流電力変換方式の主流として、交流−直流−交流の間接方式が用いられているが、平滑回路を必要とするため、コストや寿命の面で問題がある。この問題の解決に、交流−交流の直接変換の可能なマトリックスコンバータが注目されている。マトリックスコンバータは、直接変換方式のため平滑回路を必要とせず、小型、長寿命化が可能である。本稿では、これまでに提案されているマトリックスコンバータのスイッチング法を用い、シミュレーションによりその有効性の検討を行った。
P32 3レベル電圧形三相整流回路の高調波成分制御 田中 嗣大、星 伸一 、久保田 朋次、大口 國臣 (茨城大学)  電流ひずみにより電力品質が低下し,同じ電力系統内の他の機器に悪影響をもたらす高調波問題が近年顕在化してきた。このため,高調波を制限した規格があり,今後いっそうこれら規格が厳しくなると予想される。インバータ応用装置などで整流回路を用いる場合,非線形素子を含むために規格を考慮する必要がある。そこで,整流回路の高調波問題を解決させる手段として,著者らは高調波成分制御方式を提案した。本稿では提案法を3レベル電圧形三相整流回路に適用させ,提案法と従来法の比較を行った。その結果,提案法である高調波成分制御方式の有効性を検証することができた。
P33 ハードスイッチングインバータとソフトスイッチングインバータのスイッチング特性と効率の比較 嘉藤尚武、星伸一、久保田朋次、大口國臣(茨城大学)  ハードスイッチングインバータと、ソフトスイッチングインバータである共振DCリンクインバータ・共振スナバインバータの3種類のスイッチング損失・ターンオン時のdi/dt・ターンオフ時のdv/dt・効率を比較した。共振DCリンクインバータでは、補助スイッチのスイッチング周波数を10kHzとし、共振周波数が10kHz以上になるように補助回路のLとCの値を変えて、シミュレーションを行った。また、共振スナバインバータでは、主スイッチのスイッチング周波数を10kHz・デッドタイムを2μsとした時に、ソフトスイッチングが可能となるように補助回路のLとCの値を変えて、シミュレーションを行った。その結果、共振スナバインバータでは、ターンオン時のdi/dtを抑制し効率を改善することができた。さらに、2種類のソフトスイッチングインバータでターンオフ時のdv/dtを抑制し、スイッチング損失を減少させることができた。
P34 SIV(補助電源装置)用パワーユニットの開発 内藤一史、水口伸章、小澤寛之、中井川修(日立製作所 水戸交通システム本部)  容量別シリーズ化をベースに標準化を図り低騒音化を実現する140kVA SIV用パワーユニットを開発した。SIV装置は車輛停車中も発熱することから完全自冷方式にて冷却設計を行い、発熱源となる素子の配置検討、ヒートパイプや放熱フィンなどパワーユニット各部の温度上昇を詳細に計算して最適化を図った。
P35 試作SIV制御論理部の開発 鈴木啓太、宮本治、溝渕哲也(日立製作所 水戸交通システム本部)  様々なニーズに対応すべく、容量別にシリーズ化を図り高性能化を実現するSIV(補助電源用静止形インバータ)を開発した。主回路構成を容量別に標準化し、SIVの低歪化、高速応答化、および並列運転制御を実現する新制御方式を開発した。SIV用制御論理部においては、容量別に構成が異なる主回路の制御を同一の論理部構成により可能とし、標準化を図った。かつ、最適な32ビットマイコン回路およびその周辺回路を検討し、新制御方式の採用を可能とする論理部を開発した。
P36 インフィージブル内点法を用いた最適潮流計算 奈良 宏一、ソユリ(茨城大学)  近年、電力自由化が進行するにつれ、電力系統の最大送電能力の解析やさまざまなアンシラリーサービスを入札するための解析ツールとして、最適潮流計算が注目をあびてきている。また、最近は、解法の高速性から、最適潮流計算の解法として内点法が注目されている。内点法は実行可能解を初期解として実行可能領域を探索して最適解に至るが、本稿では、実行不能初期解からの探索も可能とするインフィージブル内点法の最適潮流計算の解法への適用可能性について検討する。
P37 分散型電源が配置された配電系統の三相潮流計算による解析 奈良宏一、丸山裕之(茨城大学)  単相の分散型電源が多数配電系統に接続されるならば、三相負荷が予想に反して不平衡になる可能性がある。そこで、本稿では、DISFLOをベースとした三相潮流計算プログラムを開発し、単相の分散型電源が配電系統に接続された場合の不平衡率への影響やその場合の損失を最小とする区間開閉器の常開位置などを解析する。
P38 期待停電損失を制約としたFRIENDSの最適ネットワーク構成決定手法 奈良 宏一、三島 裕樹、近江 宏和(茨城大学)  筆者らは、将来の電力供給の一形態としてFRIENDSを提案している。これまでに事故時の期待停電電力による供給信頼性を考慮したFRIENDSの最適ネットワーク構成の決定手法を提案してきている。本稿では、系統事故時の期待停電損失を許容値以下とすることを制約条件として、設備費と線路損失費の和を最小とするようなFRIENDSネットワーク構成をタブー探索と最適潮流計算を用いて決定する手法を提案する。
P39 分散型電源を考慮したタブー探索による配電損失最小化手法 奈良宏一、三島裕樹、五條梓(茨城大学)、甲斐隆章、金田裕敏(明電舎)  これまでに筆者らは、常時開放型ループ配電系統に対して、配電損失を最小化するような開閉器の常開の位置を決定する問題のタブー探索による解法を提案してきた。本稿では、分散型電源が多数接続された常時開放型ループ配電系統に対して、平等分布負荷を仮定した場合の逆潮流の影響も考慮して配電損失を最小とするような常開開閉器位置をタブー探索を用いて決定する手法を提案する。
P40 FRIENDSネットワークの信頼性評価 奈良宏一、三島裕樹、赤羽 賢一(茨城大学)  筆者らは、将来の電力供給の一形態として、高柔軟・高信頼電気エネルギー流通システム(FRIENDS)を提案している。FRIENDSでは、QCCと呼ばれる設備を需要家の近くに設置する。これまでに、QCC間を接続する供給信頼性の観点から見て最適なネットワークを構成する手法を提案してきた。本稿では、この手法で与えられたFRIENDSネットワークが設計通りの供給信頼性を示すか否かを、電力系統解析シミュレーションソフト(EDSA Ver2.95)を用いて確認する。
P41 配電系統に設備される分散型電源による負荷平準化効果の検討 奈良宏一、武田宗之(茨城大学)  近年、自然エネルギーを利用した太陽光・風力発電や電力と熱を同時に供給するコ・ジェネレーションなどの分散型電源が配電系統に大量に接続されつつある。本稿では、様々な種類の分散型電源が、多数、配電系統に接続された場合の負荷平準化効果について、分散型電源が導入された場合の負荷率と導入されない場合の負荷率を比較することによって、検討を行ったので報告する。
P42 制御情報共有化による送配電機器の協調制御 山口浩、近藤潤次、石井格(産業技術総合研究所)  電力系統の末端部に自然エネルギー電源等が大量に導入されると、系統の安定度維持が困難になる。このため、電力潮流を制御する機能が必要となる。しかし、分散電源は種類や台数が多いため、現状の系統制御のような集中管理型による対応は困難である。また、系統内の各機器が自律動作する方式も、台数が多いと相互干渉の問題などを生じる可能性が高い。そこで、近隣の機器が協調動作して系統の安定化を図る方式(スーパーノードネットワーク)を提案する。
P43 DSPを用いたディジタル位相制御盤の開発 島田勝弘、寺門恒久、松川誠(日本原子力研究所 那珂研究所)  サイリスタ変換器の位相制御装置は、PLL回路により電源位相を検出し、出力電圧指令値から制御角を計算して、点呼パルス列を発生する機器である。また、故障時には、フリーホイーリングモードへの移行など、変換器を安全に停止させる機能も有する。本開発は、DSPを用いてインテリジェントな位相制御回路を構成しようとするものである。
P44 共生的学習の並列処理化に関する研究 岩渕次郎、山田光宏、安久正紘(茨城大学)  生物の外部環境への適応過程を模倣したBayes帰納推論は、正答への収束率は高いが、収束するまでに長い時間を要するという欠点がある。本研究では、帰納推論において用いるボルツマンマシンを複数とすることにより、共生的学習を並列的に行う手法を提案し、パターン修復問題に適用することとしてコンピュータシミュレーションを行った。その結果、ボルツマンマシンの数が多いほど、正答を見出すまでの時間は短くなった。よって、共生的学習の並列処理化を行う手法の有用性が示された。
P45 内部メモリを有するボルツマンマシンにおける学習とゆらぎの関連に関する研究 中山 そのみ、山田光宏、安久正紘(茨城大学)  ニューラルネットワークを構成する素子に、ロスのある積分器を設けたときの素子への入力の時系列のスペクトルと学習への影響について考察した。ロスの値が小さいほど、カルバック情報量が一定の値に減少するのに必要な学習ステップ回数が少なくなった。しかし、カルバック情報量は、一旦は減少するが、学習ステップ回数が大きくなるに従い増加した。そして、ロスの値が中間のとき、カルバック情報量が最も減少し、パワースペクトルが相対周波数の0.1以上において1/fゆらぎ型となった。
P46 PRTシステムの駅部における車両挙動に関する解析 星野貴弘、関根栄子、浜松 芳夫(茨城大学)  本研究では個別軌道輸送(PRT)システムの駅部における車両挙動について解析する。PRTシステム駅部は本線と側線によって構成される。側線には客の乗降口(バース)が設けられている。分岐点からバースを含む側線上に存在しうる車両は最大1台とする。入駅希望車はバースを含む側線上に車両が存在した場合,本線を直進し迂回する。客の乗降時間は、ある確率分布に従うものとする。客の乗降が完了するまで,車両は出発できない。乗降が完了した時点において,分岐点に直進を希望する車両が到来した場合には,衝突を避けるためにバースに存在する車両は待つことになる。このような駅部における車両挙動をマルコフ連鎖の手法によりモデル化し迂回率,出駅待ち時間等についての解析を行う。
P47 遺伝的プログラムによる複数経路探索 山田潤、関根栄子、浜松芳夫(茨城大学)  本研究では、遺伝的プログラムを用いて複数経路探索問題を解く。複数のバスが出発地点からいくつかの都市を巡り目的地点まで行く。このときの条件を箇条書きにすれば、1.出発地点と終着地点は同じ場所とする。2.バスに乗車定員を定め、その人数を超えてはならない。3.各都市には複数の乗客が存在する。となる。以上のことを考慮して遺伝的プログラムを用いで最適解を求める。
P48 車両追従走行のモデル化に関する基礎研究 角田尚大、関根栄子、浜松芳夫(茨城大学)  本研究では、交通流を形成する最小構成要素となる2台の車両に着目し、追従走行状態において運転者がどのような入力情報を基に運転操作を行っているのかを明らかにすることを目的としている。先行車以外の外部環境情報を極力省いた状況下での追従走行実験を行った。得られたデータから重回帰分析によりモデル化を行い、基礎的な検討として運転者がどのような入力情報を基に運転操作を行っているかについて検討している。